この記事を書いた人
2010年代にIT系の会社を創業。2026年1月、法人破産・自己破産を決断し、現在手続きを進めています。この記事では、退職金・未払い給与が払えなかった経営者としての体験と、従業員が実際に立替払制度を利用した実例をもとに書いています。
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「退職金は出るのか」「先月の給料は払ってもらえるのか」──倒産を告げられた瞬間、多くの従業員の頭をよぎるのがお金の問題です。
住宅ローンや家族の生活費がある中で、退職金も未払い給与も白紙になるかもしれない。そう考えると、夜も眠れなくなるのは当然です。
この記事では、実際に法人破産を経験した筆者が、会社倒産時の退職金・未払い給与の法的な扱いと、国の立替払制度の使い方を、法的根拠と実体験を交えて解説します。「結局いくら戻ってくるのか」「どこに、何を、いつまでに申請すればいいのか」──読み終えるころには、あなたが次にやるべきことが具体的にわかるはずです。
→ 倒産時の全体的な流れについては「会社が倒産した従業員のリアルな体験談」
結論:退職金は保証されないが、未払い給与は制度で取り戻せる
退職金が全額支払われる保証はありません。しかし未払い給与は、法律と国の制度で一定程度守られています。 まず、この全体像を押さえてください。
なぜ退職金と未払い給与で扱いが異なるのか。それは、破産手続きには「支払いの優先順位」があるからです。未払い給与は法律上の優先度が高く、退職金はそれより一段下に位置します。さらに、会社に支払い能力がない場合でも、未払い給与と退職金の一部は国の「未払賃金立替払制度」によって最大80%が立て替えられます。
整理すると、こうなります。
| 種類 | 法的な優先度 | 会社に資産がない場合 |
|---|---|---|
| 未払い給与(直近3ヶ月分) | 最優先(財団債権) | 立替払制度で80% |
| 未払い給与(3ヶ月超) | 優先度高(優先的破産債権) | 立替払制度で80% |
| 退職金(規定あり) | 優先度高(優先的破産債権) | 立替払制度で80% |
| 退職金(中退共加入) | 会社の倒産に無関係 | 全額支給される |
| 退職金(規定なし) | 請求権なし | 制度の対象外 |
【私の場合】
私は経営者側、つまり退職金も給与も「払えなかった」側です。従業員に最後の給与と退職金を支払う資金が会社にありませんでした。弁護士から立替払制度の説明を受けたとき、正直、救われた気持ちでした。従業員が無一文で放り出されるわけではない。この制度がなければ、申し訳なさで押しつぶされていたと思います。
次の見出しから、退職金・未払い給与それぞれの法的な仕組みと、具体的な請求方法を解説します。
退職金の法的な扱い──「もらえるケース」と「もらえないケース」
退職金規定があっても、全額が保証されるわけではありません。 会社の残余財産と、破産手続きにおける支払い優先順位によって決まります。
退職金は「優先的破産債権」に分類される
退職金規定がある場合、退職金は破産法第98条に基づき「優先的破産債権」として認められます。一般の債権(銀行からの融資や取引先への買掛金)よりは優先されますが、「財団債権」(未払い給与等)よりは劣後します。
破産手続きにおける支払いの優先順位を整理します。
【支払い優先順位(上が最優先)】
1. 破産手続き費用(管財人報酬等)
2. 財団債権(破産手続き開始前3ヶ月の未払い給与等)
3. 優先的破産債権(退職金、税金等)
4. 一般破産債権(銀行融資、取引先への買掛金等)
つまり、退職金は3番目です。1番と2番に該当する債権を払い終えた後に、残った財産から配当されます。会社の資産が少なければ、退職金まで回らない可能性があります。
ケース別:退職金がどうなるか
具体的にどうなるかは、退職金規定の有無と会社の資産状況で決まります。
| ケース | 退職金の扱い |
|---|---|
| 退職金規定あり + 会社に資産あり | 一部〜全額が支払われる可能性あり |
| 退職金規定あり + 会社に資産なし | 立替払制度(80%、上限あり)を申請 |
| 退職金規定なし | そもそも請求権がないため支払われない |
| 中小企業退職金共済(中退共)に加入 | 会社の倒産に関係なく全額支給 |
「退職金規定はあったはずだけど、詳しくは知らない」という方が多いかもしれません。退職金規定は就業規則の一部として定められているのが一般的です。就業規則のコピーを手元に持っていれば確認できますが、会社が倒産した後ではアクセスできなくなることもあります。後述する「証拠書類の確保」が重要になる理由です。
中退共(中小企業退職金共済制度)に加入していれば安全
中退共は、会社が独立行政法人勤労者退職金共済機構に掛金を積み立てる制度です。資金は会社の外部にあるため、会社が倒産しても影響を受けません。退職時に機構から直接、従業員個人に退職金が支給されます。
自分の会社が中退共に加入しているかどうかは、以下の方法で確認できます。
- 就業規則の退職金規定を確認する
- 給与明細に中退共の掛金控除がないか確認する
- 中退共本部(03-6907-1234)に直接問い合わせる(加入状況の照会が可能)
中退共に加入していれば、会社の倒産に関係なく退職金が全額支給されます。まず加入状況を確認してください。
未払い給与の法的な扱い──直近3ヶ月分は「最優先」で支払われる
破産手続き開始前3ヶ月分の未払い給与は、「財団債権」として最優先で支払われます。 銀行や取引先よりも先です。
直近3ヶ月分は「財団債権」
破産法第149条第1項により、破産手続き開始決定前の3ヶ月分の未払い給与は「財団債権」に該当します。財団債権とは、破産手続きの中で最も優先度が高い債権のことです。管財人(裁判所が選んだ、会社の財産を整理する弁護士)が会社の資産を現金化した後、真っ先に支払われます。
ただし、「優先される=全額もらえる」ではありません。会社の資産がゼロに近い場合は、財団債権であっても満額が支払われない可能性があります。その場合に使えるのが、次の見出しで解説する「未払賃金立替払制度」です。
3ヶ月より前の未払い給与
破産手続き開始決定前の3ヶ月より前に発生した未払い給与は、「優先的破産債権」として扱われます(破産法第98条)。財団債権よりは劣後しますが、一般の債権(銀行融資等)よりは優先されます。
配当率は会社の資産状況によって異なり、全額もらえるケースもあれば、数十%に減額されるケースもあります。長期間にわたって給与が未払いになっていた場合は、古い分ほど回収が難しくなります。
解雇予告手当について
即日解雇の場合、会社は30日分の平均賃金を解雇予告手当として支払う義務があります(労働基準法第20条)。30日前に解雇予告を行った場合は不要です。
ただし、解雇予告手当は未払賃金立替払制度の対象外です。会社に支払い能力がなければ、管財人経由で配当を待つか、労働基準監督署に申告して是正勧告を出してもらう形になります。
【私の場合】
私の会社では、最後の1ヶ月分の給与が未払いになりました。弁護士から「未払い給与は財団債権として優先される」と聞きましたが、会社にはその金額を払えるだけの資産が残っていませんでした。従業員には、立替払制度を使って請求する方法を書面にまとめて渡しました。
未払い給与は法律で優先的に保護されています。ただし、会社に資産がなければ制度を使った請求が必要です。
未払賃金立替払制度──国が最大80%を立て替える
会社に支払い能力がなくても、国の立替払制度を使えば、未払い賃金の最大80%を受け取れます。 この制度を知っているかどうかで、数十万円〜数百万円の差が出ます。
制度の概要
未払賃金立替払制度は、賃金の支払の確保等に関する法律(賃確法)第7条に基づく国の制度です。独立行政法人労働者健康安全機構が実施しています。
この制度の対象になるのは、以下のいずれかに該当する場合です。
- 法律上の倒産: 破産、特別清算、民事再生、会社更生の手続きが開始された場合
- 事実上の倒産: 事業活動が停止し、再開の見込みがなく、賃金支払い能力がないことを労働基準監督署長が認定した場合
対象になる条件
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 企業の要件 | 1年以上事業を実施していたこと |
| 退職日の要件 | 裁判所への破産申立て等の6ヶ月前の日〜2年間に退職したこと |
| 対象となる賃金 | 退職日の6ヶ月前〜立替払請求日の前日までに発生した未払い賃金 |
| 対象となる種類 | 毎月の給与+退職金 |
| 対象外 | ボーナス(賞与)、解雇予告手当 |
ボーナスと解雇予告手当は対象外です。「ボーナスが未払いだから」と期待して申請しても、その分は対象になりません。
年齢別の上限額
立替払される金額には上限があります。未払い賃金の総額に対して80%が支給されますが、退職日の年齢によって未払い賃金の上限額が異なります。
| 退職日の年齢 | 未払い賃金の上限 | 立替払の上限(80%) |
|---|---|---|
| 30歳未満 | 110万円 | 88万円 |
| 30歳以上45歳未満 | 220万円 | 176万円 |
| 45歳以上 | 370万円 | 296万円 |
たとえば、45歳で未払い賃金が400万円あった場合、上限の370万円に対して80%が立て替えられるため、296万円が支給されます。残りの104万円は破産手続きの中で配当を待つ形になります。
構成案のペルソナである佐藤さん(45歳、勤続15年)のケースで試算すると、退職金が就業規則に基づいて500万円、未払い給与が1ヶ月分の35万円だった場合、未払い賃金の合計は535万円。上限370万円の80%で296万円が立替払されることになります。
申請の流れ(ステップバイステップ)
申請は以下の5ステップで進みます。
ステップ1:破産管財人に「未払賃金額の証明書」の発行を依頼する
破産手続き開始決定後、裁判所が選任した管財人に連絡し、未払い賃金の額を証明してもらいます。証明書の発行は管財人の業務の一つです。遠慮せず連絡してください。管財人の連絡先は、破産手続き開始決定通知書に記載されています。
ステップ2:管財人が証明書を発行する
管財人が会社の帳簿・給与台帳を確認し、未払い賃金の額を証明します。破産手続きの進行状況によっては、発行まで数週間〜数ヶ月かかることがあります。「いつごろ発行されるか」を管財人に確認し、定期的に進捗を問い合わせてください。
ステップ3:「立替払請求書」を労働基準監督署に提出する
管財人から証明書を受け取ったら、会社の所在地を管轄する労働基準監督署に立替払請求書を提出します。請求書の用紙は労基署の窓口で入手できます。
必要書類:
- 未払賃金額の証明書(管財人が発行)
- 立替払請求書(労基署で入手)
- 退職したことがわかる書類(離職票、退職証明書等)
- 本人確認書類
- 振込先口座の情報
ステップ4:労働者健康安全機構が審査する
労基署経由で機構に書類が送られ、審査が行われます。審査期間は通常1〜2ヶ月程度です。
ステップ5:従業員の口座に直接振り込まれる
審査が通れば、申請者本人の銀行口座に直接振り込まれます。会社を経由しません。
申請期限──絶対に忘れないでください
立替払の申請期限は、破産手続き開始決定日の翌日から2年以内です。
2年を過ぎると、どんな理由があっても申請できなくなります。破産手続きは長期化することがあり、「管財人の証明書がなかなか出なかった」「手続きが落ち着いてから申請しようと思っていた」という間に期限を過ぎてしまうケースが実際にあります。
今日、スマートフォンのカレンダーに申請期限を登録してください。
事実上の倒産の場合
会社が破産手続きをせずに夜逃げした、事業が停止したまま放置されている、といった「事実上の倒産」の場合も、立替払制度の対象になります。この場合は、管財人ではなく労働基準監督署長が未払い賃金の額を認定します。
会社の所在地を管轄する労働基準監督署に、以下を持参して相談してください。
- 給与明細書(直近6ヶ月分以上)
- 雇用契約書または労働条件通知書
- タイムカードの写し(あれば)
- 会社が事業を停止していることがわかる資料
【私の場合】
私の会社の従業員は、破産管財人から証明書を受け取り、立替払制度を申請しました。管財人の証明書発行までに約2ヶ月かかりましたが、申請後の審査は比較的スムーズで、約1ヶ月半で口座に振り込まれたと聞いています。「国の制度で助けてもらえた」という元従業員の言葉に、経営者として少しだけ救われました。
制度は機能します。申請期限だけは絶対に忘れないでください。
実際にいくら戻ってきたか【体験談】
立替払制度を使った結果、元従業員は未払い賃金の80%を約3ヶ月半で受け取ることができました。 制度は書類上の存在ではなく、現実に機能するセーフティネットです。
時系列で整理します。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 破産手続き開始決定 | 裁判所が破産手続きの開始を決定。管財人が選任される |
| 約1ヶ月後 | 元従業員が管財人に証明書の発行を依頼 |
| 約2ヶ月後 | 管財人から未払賃金額の証明書が届く |
| 約2ヶ月半後 | 証明書を持って労働基準監督署に立替払請求書を提出 |
| 約3ヶ月半後 | 銀行口座に立替払金が振り込まれる |
「思ったより時間がかかった」というのが正直な感想です。特に管財人の証明書発行まで2ヶ月かかった点は、事前に知っておいた方がいいでしょう。管財人は複数の案件を抱えていることが多く、1つの案件に集中できるわけではありません。進捗を催促するのは遠慮する必要はありません。丁寧に「証明書の発行状況を確認させてください」と連絡すれば十分です。
書類自体は意外とシンプルでした。立替払請求書は労基署でもらえるA4の定型書類で、氏名・住所・口座番号・退職日・未払い金額などを記入するものです。管財人の証明書があれば、金額は照合して記入するだけです。
ただし、管財人が証明できるのは会社の帳簿に記録されている金額だけです。「手渡しでもらっていた分」「残業代がそもそも記録されていなかった分」などは、自分で証拠を持っていなければ証明が難しくなります。
【私の場合】
経営者の立場から見た話をします。管財人には従業員の未払い賃金額について早急に証明書を発行してほしいと伝えましたが、管財人としても会社の帳簿を精査する時間が必要でした。給与台帳が整備されていたことが幸いし、証明作業は比較的スムーズに進みました。もし帳簿が混乱していたら、もっと時間がかかっていたはずです。
時間はかかりますが、制度は確実に機能します。管財人への連絡を怠らず、期限だけは絶対に守ってください。
請求時に押さえておくべきポイント
証拠書類を倒産前に確保しておくことが、最も重要な事前準備です。 倒産後では手に入らなくなる書類があります。
証拠書類の確保──倒産前に必ずやること
会社が倒産すると、社内のシステムにアクセスできなくなる可能性があります。クラウド型の勤怠管理システム、給与明細の閲覧システム、社内のグループウェアなどは、契約が打ち切られた時点でアカウントが停止されます。
今すぐ確保すべき書類(PDF保存またはスクリーンショット):
- 給与明細(直近6ヶ月分以上。できれば入社時からすべて)
- 雇用契約書または労働条件通知書
- 就業規則(退職金規定を含む)
- タイムカードまたは勤怠記録の写し
- 賞与の通知書(ある場合)
- 源泉徴収票
「会社が危ないかもしれない」と感じた段階で、これらの書類を自分のスマートフォンやUSBメモリに保存しておいてください。倒産が確定してからでは遅い場合があります。
給与明細は毎月PDF保存する習慣をつけることを強くおすすめします。これは倒産リスクに限らず、転職時の年収証明や住宅ローン審査でも必要になる書類です。
管財人との連絡方法
管財人の連絡先は、裁判所から届く「破産手続き開始決定通知書」に記載されています。連絡手段は電話または郵送が一般的です。メールでの連絡に対応している管財人もいますが、まずは電話で確認してください。
管財人に連絡する際のポイントは3つです。
- 自分の氏名、元の勤務先名、退職日を最初に伝える
- 「未払い賃金の証明書発行をお願いしたい」と明確に伝える
- 発行の見込み時期を確認し、メモしておく
管財人の事務所は多忙です。電話が繋がらないことも珍しくありません。その場合は留守番電話にメッセージを残し、2〜3営業日待っても返信がなければ再度連絡してください。
労働基準監督署への相談(無料)
労働基準監督署では、未払い賃金に関する相談を無料で受け付けています。立替払制度の申請方法についても窓口で説明してもらえます。
相談窓口は会社の所在地を管轄する労基署です。管轄がわからない場合は、厚生労働省のウェブサイトで検索するか、最寄りの労基署に電話すれば案内してもらえます。
弁護士への相談が必要になるケース
以下のケースでは、従業員側でも弁護士への相談を検討してください。
- 事実上の倒産で管財人がいない場合: 証明書を発行してもらう相手がいないため、労基署への申請手続きが複雑になる
- 未払い賃金の額に争いがある場合: 残業代の算定方法などで会社側(管財人)と認識が異なる
- 退職金規定の解釈に争いがある場合: 退職金の算定方法に曖昧さがある
弁護士費用の負担が心配な場合は、法テラス(0570-078374)に相談してください。収入要件を満たせば弁護士費用の立替制度を利用でき、月額5,000円〜の分割返済が可能です。法テラスの電話受付は平日9:00-21:00、土曜9:00-17:00です。
【私の場合】
経営者として一つ後悔していることがあります。会社のクラウド型給与システムは、破産手続き開始後すぐに契約が切れ、データにアクセスできなくなりました。幸い紙の帳簿があったため管財人は証明書を発行できましたが、もしデジタルデータだけで運用していたら、従業員の証明がさらに困難になっていたはずです。従業員の方には、自分の給与明細は自分で保管しておくことを心からお伝えしたいです。
証拠書類の確保は「万が一の保険」です。会社が健全なうちから、毎月の給与明細をPDFで保存する習慣をつけてください。
給与の全額払いと労基法の保護
給与は労働基準法第24条で「全額払い」が義務づけられています。 倒産してもこの原則は変わりません。
労働基準法第24条は「賃金全額払いの原則」を定めています。会社は、労働者に対して賃金の全額を、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければなりません。この規定は倒産の有無に関係なく適用されます。
つまり、会社が倒産したからといって未払い給与の請求権が消滅するわけではありません。会社に支払い能力がなくても、「請求する権利」は労働者に残り続けます。その権利を現金化する手段が、破産手続きにおける配当であり、立替払制度です。
また、労働基準法第20条は、解雇する場合に30日前の予告か、30日分の平均賃金の支払い(解雇予告手当)を義務づけています。会社が突然「明日から来なくていい」と言った場合、解雇予告手当を請求する権利があります。
ただし、実務的には倒産した会社に解雇予告手当を支払う資産がないことも多く、破産手続きの中で配当を受ける形になります。前述の通り、解雇予告手当は立替払制度の対象外のため、回収が困難なケースもあります。
未払い給与がある場合、泣き寝入りする必要はありません。法律はあなたの請求権を保護しています。
まとめ──退職金・未払い給与の全体像と、今すぐやるべきこと
退職金・未払い給与のまとめ:
| 種類 | 法的な扱い | 請求先 |
|---|---|---|
| 未払い給与(直近3ヶ月分) | 財団債権(最優先) | 管財人経由で支払い |
| 未払い給与(3ヶ月超) | 優先的破産債権 | 管財人経由で配当 |
| 退職金(規定あり) | 優先的破産債権 | 管財人経由で配当 |
| 退職金(中退共加入) | 倒産の影響なし。全額支給 | 中退共に直接請求 |
| 上記すべて(会社に資産がない場合) | 立替払制度で80%(上限あり) | 管財人証明→労基署→機構 |
| 解雇予告手当 | 一般的破産債権 | 管財人経由で配当(立替払対象外) |
今すぐやるべきこと:
- 証拠書類を確保する: 給与明細・雇用契約書・就業規則を今日中にPDF保存する
- 中退共の加入状況を確認する: 加入していれば、会社の倒産に関係なく退職金が全額支給される
- 未払い賃金の金額を整理する: 未払い給与+退職金の総額を自分で計算しておく
- 管財人に証明書の発行を依頼する: 破産手続き開始決定後、速やかに連絡する
- 申請期限(2年以内)をカレンダーに登録する: 破産手続き開始決定日の翌日から2年以内に申請
立替払の年齢別上限額(再掲):
| 退職日の年齢 | 立替払の上限(80%) |
|---|---|
| 30歳未満 | 88万円 |
| 30歳以上45歳未満 | 176万円 |
| 45歳以上 | 296万円 |
退職金が払われないかもしれない、未払い給与がそのままになるかもしれない──そういう不安は当然です。しかし、日本には未払い賃金を立て替える国の制度があり、法律は労働者の請求権を守っています。
不安なときは、一人で抱え込まないでください。
- 法テラス: 0570-078374(平日9:00-21:00、土曜9:00-17:00)──収入要件を満たせば弁護士費用の立替あり
- 労働基準監督署: 会社所在地を管轄する労基署に電話で相談(無料)
- 労働者健康安全機構: 立替払制度の問い合わせ(044-431-8663)
あなたの労働の対価は、法律で守られています。まず証拠書類を確保し、管財人に連絡してください。
→ 全体のチェックリストは「会社倒産で従業員がやるべきこと完全チェックリスト」
→ 転職活動の進め方は「会社倒産後の従業員はどうなる?転職活動と生活再建」
→ 経営者側の解説は「会社倒産で従業員はどうなる?経営者が知るべき手続き」
この記事の情報について
本記事は筆者の個人的な経験と調査に基づいています。法律や制度の内容は2026年3月時点のものです。退職金・未払い給与の請求や立替払制度の申請については、労働基準監督署または弁護士にご相談ください。
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