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2010年代にIT系の会社を創業。2026年1月、法人破産・自己破産を決断し、現在手続きを進めています。
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「自己破産したら、車は取り上げられるのだろうか」
通勤、買い物、子供の送迎。地方に住んでいれば、車は「便利なもの」ではなく「なければ生活が成り立たないもの」です。自己破産を検討しているとき、「車がなくなったら、仕事にも行けなくなる」という恐怖を抱えているかもしれません。
この記事では、自己破産で車がどうなるかを「ローンの有無」と「車の価値」に分けて解説します。法的根拠、残す方法、手放した場合の対処法まで、経験者の視点で具体的にお伝えします。
読み終えるころには、自分の状況で車がどうなるか判断でき、弁護士に何を聞けばいいかが明確になっているはずです。
結論:ローンの有無と車の価値で結果が変わる
自己破産したら必ず車を失うわけではありません。 ローンの有無と車の査定額によって結果は変わります。
まず全体像を把握してください。
| 状況 | 結果 | 根拠 |
|---|---|---|
| ローンあり(所有権留保つき) | ローン会社に引き上げられる | 所有権留保特約 |
| ローンなし・査定20万円以下 | 残せる可能性が高い | 破産法第34条第3項(自由財産) |
| ローンなし・査定20万円超 | 処分対象だが拡張の余地あり | 破産法第34条第4項(自由財産の拡張) |
| リース車 | リース会社に返却 | リース契約の終了 |
ポイントは「車の名義(所有権)が誰にあるか」と「車の経済的価値がいくらか」の2点です。この2つがわかれば、車がどうなるかはほぼ判断できます。
【私の場合】
私は法人破産・自己破産の手続きを進める中で、車の扱いについて弁護士と詳しく相談しました。車の処遇は破産手続きの中でも特に生活への影響が大きい項目で、弁護士も慎重に対応してくれました。
ローンが残っている場合:引き上げの可能性が高い
ローンが残っている車は、ローン会社に引き上げられる可能性が高いです。 これは「所有権留保」という仕組みが関係しています。
所有権留保とは
自動車ローンの多くには「所有権留保特約」がついています。これは「ローンを完済するまで、車の所有権はローン会社(またはディーラー)にある」という約束です。車検証の「所有者」欄を確認してください。ローン会社やディーラーの名前になっていれば、所有権留保がついています。
自己破産すると、ローンの返済ができなくなります。ローン会社は所有権に基づいて車の返還を求めてきます。これは法的に正当な権利であり、破産管財人(裁判所が選んだ、財産を整理する弁護士)も基本的にこの引き上げを認めます。
引き上げまでの流れ
- 弁護士から債権者(ローン会社含む)に受任通知を送付
- ローン会社から車の返還請求が届く
- 引き上げ日を調整し、車を返却する
- 車の売却代金がローン残債に充当される
通常、受任通知から1〜2ヶ月以内に引き上げの話が進みます。弁護士を通じてスケジュールを調整できるため、突然車がなくなるわけではありません。
第三者弁済で車を残す方法
ローンが残っていても、車を残す方法が1つあります。第三者弁済です。家族や親族がローンの残額を一括で支払えば、所有権留保が解除され、車は家族の財産として残せます。
ただし、重大な注意点があります。破産者本人が自分のお金でローンを返済すると「偏頗弁済(へんぱべんさい)」として否認される可能性があります。 偏頗弁済とは、特定の債権者にだけ有利な弁済をすることで、破産法第162条で禁止されています。必ず弁護士に相談し、適切な方法で進めてください。
【要差し替え:実体験】ここに車のローンに関する実際の経験を記入。例: ローンの残債額、引き上げの連絡が来た時期、第三者弁済を検討したかどうかなど
ローンが完済済みの場合:査定額がカギ
ローンが完済済みの車は、査定額によって残せるかどうかが決まります。基準は「20万円」です。
査定額20万円以下:残せる可能性が高い
破産法第34条第3項は、一定の財産を「自由財産」として破産者の手元に残すことを認めています。現金99万円以下、差押禁止財産などが対象です。
実務上、多くの裁判所では査定額が20万円以下の車は処分の対象としない運用をしています。これは東京地裁をはじめ多くの地方裁判所で採用されている基準です。
年式が10年以上経過している車、走行距離が10万kmを超えている車は、査定額が20万円以下になるケースが多いです。弁護士に依頼すれば、ディーラーや中古車買取業者で査定書を取得してくれます。
査定額20万円超:自由財産の拡張で残せる可能性
査定額が20万円を超える場合でも、すぐに諦める必要はありません。自由財産の拡張を裁判所に申し立てることで、車を残せる可能性があります。
自由財産の拡張とは、破産法第34条第4項に基づき、裁判所が「破産者の生活に必要」と認めた場合に、通常の自由財産の範囲を超えて財産を手元に残す制度です。
裁判所が考慮するポイントは以下の通りです。
- 通勤に車が不可欠か(公共交通機関がない地域など)
- 介護・通院など車がないと生活が成り立たない事情があるか
- 車の査定額と自由財産の総額のバランス
- 代替手段の有無
地方在住で通勤に車が必要な場合は、自由財産の拡張が認められるケースがあります。弁護士と相談し、生活に車が必要な具体的事情を整理して申立書に記載してもらいましょう。
【私の場合】
私の場合は都市部での生活だったため、車については公共交通機関で代替可能と判断しました。地方に住んでいたら、自由財産の拡張を申し立てていたと思います。車の要否は住む場所と仕事内容で大きく変わります。
やってはいけないこと:財産隠し・名義変更
車を残したいあまりに、破産前に車の名義を家族に変更する行為は絶対にやってはいけません。 破産法第265条に基づく「詐欺破産罪」に問われる可能性があります。法定刑は10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方です。
さらに、破産管財人には「否認権」(破産法第160条〜第162条)があり、破産前に行われた不当な財産移転を取り消す権限があります。名義変更が発覚すれば、免責不許可事由(破産法第252条第1項第1号)にも該当し、借金が免責されなくなるリスクがあります。
以下の行為はすべてNGです。
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 破産前に車を家族名義に変更する | 詐欺破産罪(破産法第265条) |
| 車を相場より安い価格で売却する | 否認権の対象(破産法第160条) |
| 車を隠して申告しない | 免責不許可事由(破産法第252条) |
| 車のローンだけ先に返済する | 偏頗弁済(破産法第162条) |
弁護士に正直に状況を話し、合法的な方法で対応してください。弁護士は「車を取り上げる人」ではなく「残す方法を一緒に探してくれる人」です。
車を手放した場合の対処法
車を手放すことになっても、移動手段は確保できます。具体的な選択肢を紹介します。
中古車を現金で購入する
自己破産後でも、車を現金で購入することは自由にできます。 ブラックリストの影響でローンは組めませんが、現金一括なら問題ありません。
10万〜30万円程度の中古車でも、通勤や買い物には十分です。中古車販売店や個人間売買(ヤフオク、メルカリなど)を活用できます。ただし、整備状態の確認は慎重に行ってください。
カーシェア・レンタカーを活用する
週末だけ車が必要な場合は、カーシェアリングが経済的です。タイムズカーシェアやカリテコなどのサービスは、クレジットカードなしでもデビットカードで登録できるものがあります。月額基本料は数百円〜1,000円程度で、使った分だけ料金が発生します。
自治体の交通支援
自治体によっては、公共交通が不便な地域向けにデマンドタクシーやコミュニティバスを運行しています。お住まいの自治体の福祉課に問い合わせてみてください。生活保護を受給している場合は、通院交通費の支給制度もあります。
【要差し替え:実体験】ここに車を手放した後の移動手段について実際の対処法を記入。例: 実際に利用した交通手段、不便だった点、工夫したことなど
まとめ
自己破産と車の関係:ケース別の結論
| 状況 | 結論 | 対処法 |
|---|---|---|
| ローンあり | 引き上げの可能性が高い | 第三者弁済を検討。必ず弁護士に相談 |
| ローンなし・査定20万円以下 | 残せる可能性が高い | 査定書を取得して弁護士に提出 |
| ローンなし・査定20万円超 | 自由財産の拡張で残せる可能性 | 通勤や生活の必要性を弁護士と整理 |
| 手放す場合 | 中古車の現金購入・カーシェアで対応可能 | 手続き完了後に検討 |
車の問題は、自己破産を躊躇する大きな理由の一つです。しかし「車がなくなる=自己破産できない」ではありません。残す方法もあれば、手放した後の代替手段もあります。
まず弁護士に「車のローン残債」「車の査定額」「通勤での必要性」を伝えてください。 そこから具体的な方針が決まります。
- 法テラス: 0570-078374(平日9:00-21:00、土曜9:00-17:00)
- 収入要件を満たせば弁護士費用の立替制度が利用でき、月5,000円〜の分割返済が可能
この記事の情報について
本記事は筆者の個人的な経験と調査に基づいています。車の取り扱いはケースにより異なります。具体的な判断については、必ず弁護士等の専門家にご相談ください。
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