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2010年代にIT系の会社を創業。2026年1月、法人破産・自己破産を決断し、現在手続きを進めています。
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「20年以上かけてきた生命保険が、自己破産で全部なくなるのか」
自己破産を検討するとき、保険の扱いは見落とされがちですが深刻な問題です。解約返戻金がある保険は処分の対象になるのか。掛け捨ての医療保険やがん保険はどうなるのか。家族の保障がなくなることへの不安は大きいはずです。
この記事では、自己破産と保険の関係を種類別に整理し、「残せるもの」と「処分対象になるもの」を明確にします。保険を残すための具体的な方法も解説します。
読み終えるころには、自分が加入している保険がどうなるかを判断でき、弁護士に何を確認すべきかがわかるはずです。
結論:掛け捨て型は影響なし。解約返戻金20万円以下も残せる可能性がある
自己破産しても、すべての保険が解約になるわけではありません。 保険の種類と解約返戻金の額によって、扱いが変わります。
| 保険の種類 | 解約返戻金 | 自己破産での扱い |
|---|---|---|
| 掛け捨て型(医療保険・がん保険等) | なし | 影響なし。そのまま継続できる |
| 貯蓄型(終身保険・養老保険等) | あり(20万円以下) | 残せる可能性が高い |
| 貯蓄型(終身保険・養老保険等) | あり(20万円超) | 処分対象。ただし自由財産の拡張で残せる場合あり |
| 損害保険(自動車保険・火災保険等) | ほぼなし | 影響なし |
| 学資保険 | あり | 解約返戻金の額による |
自己破産で問題になるのは「解約返戻金があるかどうか」と「その金額」です。掛け捨て型の保険は解約返戻金がないため、破産手続きの対象外です。保険に入っていること自体が問題になるわけではありません。
【私の場合】
私は法人破産・自己破産の手続きを進める際、加入していたすべての保険について弁護士と一緒に解約返戻金を確認しました。保険の扱いは弁護士から最初にヒアリングされる項目の一つです。保険証券を手元に用意して、弁護士に見せるのがスムーズです。
掛け捨て型保険:影響なし
掛け捨て型の保険は、自己破産してもそのまま継続できます。 解約の必要はありません。
掛け捨て型保険とは、保障期間中に保険事故(入院・手術・死亡など)がなければ、満期時にお金が戻ってこない保険です。具体的には以下のタイプが該当します。
- 医療保険(入院・手術の保障)
- がん保険
- 定期死亡保険(更新型)
- 傷害保険
これらの保険には解約返戻金がない(またはごく少額な)ため、破産財団に組み入れられる「財産」として扱われません。破産管財人が解約を求めることもありません。
自己破産後の生活では、病気やケガへの備えが重要になります。掛け捨て型の保険は、保険料が安く保障が手厚いものが多いため、解約せずにそのまま継続することをおすすめします。
貯蓄型保険:解約返戻金がポイント
貯蓄型保険は、解約返戻金の額によって処分対象かどうかが決まります。基準は「20万円」です。
解約返戻金が20万円以下の場合
東京地裁をはじめ多くの裁判所では、解約返戻金が20万円以下の保険は処分の対象としない運用をしています。自由財産として手元に残せる可能性が高いです。
保険会社に連絡して「解約返戻金の証明書」を取り寄せてください。弁護士がこの書類を裁判所に提出し、自由財産として認められれば保険を継続できます。
解約返戻金が20万円超の場合
解約返戻金が20万円を超える保険は、原則として処分の対象です。破産管財人が保険を解約し、返戻金を債権者への配当に充てます。
ただし、すぐに諦める必要はありません。自由財産の拡張(破産法第34条第4項)を裁判所に申し立てることで、保険を残せる可能性があります。
自由財産の拡張が認められるかどうかは、以下の要素で判断されます。
- 保険の必要性(年齢・健康状態から新規加入が難しい場合)
- 解約返戻金の金額と自由財産の総額のバランス
- 破産者の生活再建にとっての重要性
特に、持病がある方や高齢の方は、新たに保険に加入することが難しい場合があります。こうした事情を弁護士に伝え、自由財産の拡張を検討してもらいましょう。
学資保険の扱い
子供の学資保険も、解約返戻金が20万円を超える場合は処分対象です。「子供の教育資金だから」という理由だけでは保護されません。ただし、自由財産の拡張で残せるケースもあります。弁護士に個別に相談してください。
【私の場合】
保険の整理は精神的に負担が大きい作業でした。長年かけてきた保険を手放す可能性があると知ったとき、「家族の保障がなくなる」という不安が一気に押し寄せました。しかし弁護士と一つずつ確認していくと、残せるものと処分対象のものが明確になり、冷静に判断できるようになりました。
損害保険:基本的に影響なし
自動車保険・火災保険・地震保険などの損害保険は、自己破産の影響を受けません。 そのまま継続できます。
損害保険は掛け捨て型がほとんどで、解約返戻金がないためです。自動車を所有し続ける場合は、自動車保険の継続は必須です。賃貸に住む場合の火災保険(借家人賠償責任保険)も、契約更新に支障はありません。
ただし、保険料の支払いがクレジットカード払いになっている場合は注意が必要です。自己破産するとクレジットカードが使えなくなるため、口座振替や振込に支払い方法を変更してください。支払い方法の変更は保険会社に連絡すれば対応してもらえます。
保険を残すための具体的な方法
処分対象になりそうな保険を残すために、以下の方法を弁護士と検討してください。
方法①:自由財産の拡張を申し立てる
破産法第34条第4項に基づき、裁判所に自由財産の拡張を申し立てる方法です。保険が生活再建に必要であることを、具体的な事情とともに主張します。
申し立てに必要な情報は以下の通りです。
- 保険の種類・契約内容
- 解約返戻金の金額(保険会社発行の証明書)
- 新規加入が困難な理由(年齢・健康状態)
- 破産者の生活状況と保険の必要性
方法②:解約返戻金相当額を破産財団に支払う
解約返戻金の金額を現金で破産財団に支払うことで、保険の解約を回避できる場合があります。例えば、解約返戻金が50万円の保険であれば、50万円を管財人に支払えば保険を解約しなくて済みます。
ただし、この方法は「その現金をどこから調達するか」が問題になります。破産者本人の財産からは出せないため、家族からの援助などが必要です。弁護士を通じて管財人と協議してください。
やってはいけないこと
保険を残すために、以下の行為は絶対にNGです。
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 破産前に解約して現金化する | 財産隠しと見なされる可能性(破産法第252条) |
| 契約者を家族に変更する | 否認権の対象(破産法第160条) |
| 解約返戻金の存在を隠す | 免責不許可事由に該当 |
| 契約者貸付で返戻金を減らす | 財産減少行為として否認される可能性あり |
【要差し替え:実体験】ここに保険の取り扱いに関する具体的な経験を記入。例: 残せた保険・手放した保険、弁護士とのやり取り、保険会社への連絡方法など
自己破産後に保険に加入できるか
自己破産後でも保険に新規加入できます。 保険加入にクレジットカードの審査のような信用情報の照会はありません。
保険会社は加入時に健康状態を審査しますが、自己破産の有無は審査項目に含まれていません。告知義務があるのは「健康状態」と「職業」であり、「破産歴」ではありません。
ただし、保険料の支払い方法に注意が必要です。クレジットカード払いは利用できないため、口座振替を選択してください。
掛け捨ての医療保険やがん保険は月額1,000〜3,000円程度で加入できるものもあります。自己破産後は収入が不安定になりがちなため、最低限の保障を掛け捨て型で確保し、生活が安定してきてから見直すのが現実的です。
まとめ
自己破産と保険の関係:種類別の結論
| 保険の種類 | 結論 | 対応 |
|---|---|---|
| 掛け捨て型 | 影響なし。継続可能 | 解約しない |
| 貯蓄型(返戻金20万円以下) | 残せる可能性が高い | 返戻金証明書を取得 |
| 貯蓄型(返戻金20万円超) | 処分対象。拡張で残せる場合あり | 弁護士と自由財産の拡張を検討 |
| 損害保険 | 影響なし。継続可能 | 支払い方法を口座振替に変更 |
| 自己破産後の新規加入 | 可能 | 掛け捨て型で最低限の保障を確保 |
保険のことが心配で自己破産をためらう方は多いですが、全部なくなるわけではありません。掛け捨て型は継続でき、貯蓄型も残せる方法があります。
まず弁護士に保険証券を見せ、解約返戻金の額を確認してもらうことが第一歩です。
- 法テラス: 0570-078374(平日9:00-21:00、土曜9:00-17:00)
- 収入要件を満たせば弁護士費用の立替制度が利用でき、月5,000円〜の分割返済が可能
この記事の情報について
本記事は筆者の個人的な経験と調査に基づいています。保険の取り扱いはケースにより異なります。具体的な判断については、必ず弁護士等の専門家にご相談ください。
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