この記事を書いた人
2010年代にIT系の会社を創業。2026年1月、法人破産・自己破産を決断し、現在手続きを進めています。
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「自己破産したら、今住んでいる家を出なければならないのか」
「手続き中に引っ越ししても問題ないのか」
自己破産を検討しているとき、住む場所の問題は生活の根幹に関わります。持ち家を手放さなければならないのか。賃貸は借りられるのか。引っ越しのタイミングはいつがいいのか。不安は尽きません。
この記事では、自己破産と引っ越しの関係を「手続き中」と「手続き後」に分けて解説します。居住制限の法的根拠、賃貸契約のポイント、引っ越し費用の確保方法まで、経験者の視点でお伝えします。
読み終えるころには、「いつ・どのように引っ越すべきか」の見通しが立つはずです。
結論:引っ越しはできる。ただし手続き中は裁判所の許可が必要な場合がある
自己破産しても引っ越しは可能です。 ただし、手続きの段階によって対応が異なります。
| 段階 | 引っ越し | 条件 |
|---|---|---|
| 弁護士への相談〜申立て準備中 | 自由にできる | 特に制限なし |
| 管財事件の手続き中 | 裁判所の許可が必要 | 破産法第37条 |
| 同時廃止の手続き中 | 基本的に自由 | 居住制限なし |
| 免責確定後 | 完全に自由 | 一切の制限なし |
多くの方が心配するのは「手続き中に引っ越してはいけないのでは」という点ですが、これは管財事件の場合に限った制限です。同時廃止(財産が少なく管財人がつかないケース)の場合は、手続き中も引っ越しに制限はありません。
【私の場合】
私は法人破産・自己破産の手続き中に引っ越しをしました。弁護士を通じて裁判所に転居の許可を申請し、問題なく認められました。引っ越し先が決まっていれば、裁判所が許可を拒否するケースはほとんどないと弁護士から聞いています。
手続き中の居住制限:破産法第37条
管財事件の手続き中は、裁判所の許可なく居住地を離れることができません。 これは破産法第37条に定められた「居住制限」です。
居住制限の内容
破産法第37条は「破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない」と規定しています。
ここで言う「居住地を離れる」とは、引っ越し(転居)だけでなく、長期の旅行や出張も含まれます。一方、日帰りの外出や短期間の旅行は通常問題ありません。
許可を得る方法
引っ越しの許可を得るのは、実務上それほど難しくありません。
- 弁護士に引っ越しの必要性と転居先を伝える
- 弁護士が裁判所に転居許可の申立書を提出する
- 裁判所が許可を出す(通常1〜2週間)
「家賃を下げるため」「通勤の便を考えて」など合理的な理由があれば、許可は下りるのが一般的です。裁判所は破産者の生活再建を妨げる意図はなく、連絡が取れる状態であれば問題ないと考えています。
同時廃止の場合
財産が少なく「同時廃止」(管財人がつかない簡易な手続き)で進む場合は、破産法第37条の居住制限は適用されません。同時廃止は、財産がほとんどなく免責不許可事由もない場合に選択されます。自己破産の多くは同時廃止で処理されるため、引っ越しの制限を受けない方が多数派です。
持ち家はどうなるか
持ち家は、自己破産すると原則として処分の対象になります。 これは自己破産で最も大きな影響のひとつです。
住宅ローンが残っている場合
住宅ローンが残っている場合、金融機関が抵当権を実行し、競売にかけられます。あるいは破産管財人が任意売却を進めます。任意売却は競売より高値で売れるケースが多く、管財人が主導するのが一般的です。
住宅ローンの残債が売却額を上回る場合(オーバーローン)は、差額は自己破産で免責されます。
住宅ローンが完済済みの場合
住宅ローンが完済済みの持ち家は、破産財団に組み入れられ、管財人が売却します。不動産は金額が大きいため、自由財産の拡張で残すことは実務上ほぼ不可能です。
退去のタイミング
持ち家を売却する場合でも、即座に退去する必要はありません。売却手続きには数ヶ月かかるため、その間に引っ越し先を探す時間はあります。弁護士や管財人と退去時期を調整してください。
【要差し替え:実体験】ここに持ち家の処分に関する実際の経験を記入。例: 売却までの期間、退去のタイミング、引っ越し先探しの過程など
賃貸契約のポイント:保証会社の選び方がカギ
自己破産後でも賃貸は借りられます。 ただし、保証会社の選び方に注意が必要です。
信販系保証会社はNG
クレジットカード会社のグループ(オリコ、エポス、ジャックスなど)が運営する「信販系保証会社」は、信用情報機関に照会するため、自己破産の情報が引っかかります。審査に通らない可能性が高いです。
独立系保証会社を選ぶ
フォーシーズ、日本セーフティー、Casa(カーサ)など、信用情報機関に加盟していない「独立系保証会社」であれば、自己破産の履歴は審査に影響しません。独自の基準(家賃に対する収入の比率など)で審査するため、安定した収入があれば通る可能性が十分あります。
| 保証会社の種類 | 信用情報照会 | 審査への影響 |
|---|---|---|
| 信販系(オリコ、エポス等) | あり | 自己破産情報が引っかかる |
| 独立系(フォーシーズ等) | なし | 自己破産の影響なし |
| LICC系(全保連等) | LICC独自DB | 過去の家賃滞納歴のみ影響 |
不動産会社への伝え方
不動産会社に「自己破産した」と自分から申告する義務はありません。ただし「独立系の保証会社が使える物件を探しています」と伝えれば、該当する物件を紹介してもらえます。理由を聞かれたら「過去に信用情報に傷がある」程度の説明で十分です。
【私の場合】
私は自己破産の手続き中に賃貸を契約しました。不動産会社には「独立系保証会社が使える物件で」とお願いし、問題なく契約できました。家賃は以前の半額以下になりましたが、生活に支障はありません。
→ 詳しくは「自己破産後の賃貸|審査は通る?借りるコツ」
引っ越し費用の確保方法
自己破産を検討している時点で「引っ越し費用をどう捻出するか」は切実な問題です。具体的な方法を紹介します。
自力で抑える方法
引っ越し費用を最小限に抑える方法があります。
- 単身パック: 大手引っ越し業者の単身パックは2〜4万円程度
- 自力引っ越し: レンタカーを借りて自分で運ぶ。費用は1万円前後
- 赤帽: 近距離の引っ越しなら1〜2万円程度
- 不用品を先に処分: 荷物を減らせば費用も下がる
制度を活用する方法
状況によっては公的な支援制度を活用できます。
- 生活保護の住宅扶助: 生活保護受給中なら引っ越し費用の一部が支給される場合がある
- 社会福祉協議会の緊急小口資金: 一時的に必要な資金を無利子で借りられる(上限10万円)
- 自治体の転居費用支援: 自治体独自の支援制度がある場合がある
【要差し替え:実体験】ここに引っ越し費用の確保に関する実際の経験を記入。例: 実際にかかった費用、節約した方法、利用した制度など
引っ越しのベストタイミング
引っ越しのタイミングは、状況によって異なります。
| タイミング | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 弁護士相談前 | 制限なく動ける | 費用がかさむ可能性 |
| 弁護士相談後〜申立て前 | 家賃を下げて費用を節約できる | 管財人に説明が必要な場合あり |
| 手続き中 | 裁判所の許可があれば可能 | 手続きとの並行で負担が大きい |
| 免責確定後 | 完全に自由。精神的にも落ち着いている | 引っ越し費用の貯蓄が必要 |
弁護士に相談した後、なるべく早い段階で家賃の低い物件に移るのが経済的には最善です。ただし、手続きとの並行で心身の負担が大きくなりすぎないよう、無理のないスケジュールを組んでください。
まとめ
自己破産と引っ越しのポイント:
- 手続き中でも引っ越しは可能。 管財事件なら裁判所の許可が必要だが、ほぼ認められる
- 持ち家は原則処分対象。 売却には数ヶ月かかるため、その間に引っ越し先を探す
- 賃貸は借りられる。 独立系保証会社を指定すれば審査に通る可能性が高い
- 引っ越し費用は工夫次第。 単身パックや赤帽を活用し、公的制度も検討する
住む場所は生活の基盤です。「自己破産したら住む場所がなくなる」ということはありません。弁護士に状況を伝え、引っ越しの時期と方法を一緒に計画してください。
- 法テラス: 0570-078374(平日9:00-21:00、土曜9:00-17:00)
- 収入要件を満たせば弁護士費用の立替制度が利用でき、月5,000円〜の分割返済が可能
この記事の情報について
本記事は筆者の個人的な経験と調査に基づいています。引っ越しの可否や賃貸審査はケースにより異なります。具体的な判断については、必ず弁護士等の専門家にご相談ください。
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